裁判離婚とは? | 流れ、費用、期間について解説

離婚の基礎知識

離婚は、できれば2人の話し合いによる「協議離婚」で穏便に済ませたいものです。

しかし、どうしても2人では話し合いがまとまらない場合もあります。

そんな時、まずは「調停離婚」または「ADR(裁判外紛争解決手続き)」で第三者も交えた話し合いで解決を図りますが、それでも話がまとまらなかった場合は「裁判離婚」となります。

日本では「裁判離婚」となる割合は約1%となっています。
比率だけ見ると少ないように感じますが、「裁判」となると、心にもお金にもかなりの負担がかかってしまいます。

今回は、「裁判離婚」とはどのように行われるのか?
手続きの流れ、かかる費用、おおよその期間について解説していきます。

裁判離婚とは?

協議離婚
↓     ↘
調停離婚 ← ADR
↓     ↙
(※)法務大臣認定機関のみ
「裁判離婚」

調停離婚が成立しなかった場合は、訴訟を提起し、「裁判」で離婚や慰謝料等を請求することとな ります。

「裁判」では、裁判所にお互いが物的証拠や証言を提出します。

裁判官はそれらを十分吟味して、最終的に「離婚するか、しないか」の「判決」を下すことになります。

裁判離婚で離婚できる理由は決まっている?

「協議離婚」や「調停離婚」の場合、離婚の理由は問われません。お互いが合意すれば、どんな理由でも離婚することができます。

しかし、「裁判離婚」は、「民法第770条第1項」の離婚理由に当てはまっていないと、離婚することができません
条文に書かれた離婚条件は、次のとおりです。

  • 配偶者に不貞行為があったとき(※1)
  • 配偶者から悪意で遺棄(※2)されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(※3)
  • その他離婚を継続し難い重大な事由があるとき(※4)

(※1)物的証拠(興信所の報告書や写真など)が必要です。
(※2)長い間勝手に家を出て生活費を渡さなないなど、正当な理由もなく夫婦の義務を果たさないことを「悪意の遺棄」といいます。
(※3)医師の診断書が必要です。
(※4)過去の判例では、暴言・暴行、借金、ギャンブル、宗教上の問題などが「重大な事由」として認められました。何が「重大な理由」かは一概には言えませんが、個々の夫婦関係や事情を考慮して、判断されています。

離婚裁判で争われる内容は?

離婚裁判では、離婚をするかどうかだけでなく、以下のような離婚条件についても争われます。

  • 慰謝料請求の可否と慰謝料の金額
  • 財産分与
  • 子供の親権者
  • 子供の養育費の金額や支払方法
  • 子供の面会交流のルール

裁判離婚の流れは?

裁判離婚の流れはおおむね次の通りです。

  1. 家庭裁判所に訴訟を提起します。
  2. 裁判期日に当事者双方が主張・立証をします。
  3. 当事者や証人などに対する尋問が実施されます(※)。
  4. 裁判所が離婚の可否や慰謝料額等を判断します(※)。
    離婚を認める判決が出れば離婚が成立し、慰謝料額等が決定されます。
  5. 判決が確定したら、10日以内に離婚届と共に判決謄本と確定証明書を添えて、市区町村役場に提出します。

※ 尋問や判決の前に、和解を提示されることもあります。
当事者双方が裁判所の和解案に合意すれば、和解により離婚が成立し、慰謝料額等も決定されます。

裁判離婚にかかる費用と必要書類は?

離婚裁判にかかる費用には、「実費」と「弁護士費用」の2つがあります。

実費

離婚裁判にかかる実費の目安と主な必要書類は、以下のとおりです。

【費用】

  • 戸籍謄本の交付手数料…1通450円
  • 申立費用…収入印紙 13,000円~(裁判内容による)
  • 切手代…6,000円(裁判所による)
  • 法廷に証人を呼んだ場合…日当+旅費

【必要書類】

  • 訴状2部
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 年金分割のための情報通知書(年金分割割合についての申立てが含まれている場合)
  • その他証拠書類(源泉徴収票や預金通帳等)およびそのコピー2部

弁護士費用

離婚裁判の場合は弁護士に依頼することになるでしょう。
弁護士への報酬はまちまちですが、目安としては以下のとおりです。

  • 相談料:1時間1万円前後
  • 着手金:20~40万円
  • 成功報酬:30~40万円+獲得した慰謝料等経済的利益の10~20%など

裁判離婚にかかる期間は?

案件によりますが、少なくとも1年~2年はかかると覚悟しておいたほうがよいでしょう

また、第一審で勝訴したとしても、相手方が控訴・上告してさらに争えば、さらに長引くことになります。

協議離婚のすすめ

ここまで裁判離婚について解説してきましたが、いかがでしょうか?

裁判には大変な労力と費用、そして時間がかかります。

できれば、離婚は2人で話し合う「協議離婚」で円満にしたいものです。

協議離婚のポイントは以下の記事でまとめていますので、参照ください。

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まとめ

裁判離婚には多大な労力とお金、時間がかかります。
裁判によって何を得られるのか、何を失うのか、よく検討してほしいと願います。

長い裁判の間、あなたの心にはいろいろな感情が湧き出てくることでしょう。

  • これまでの結婚生活で不満だったことや、後悔していること
  • 協議をしている中で、相手に憤りを感じること、逆に感謝すること
  • 離婚後の生活に不安を感じること、逆に楽しみに感じること
  • やり直した方がいいのでは?と感じること

長い裁判を乗り切るには、あなたの心のケアも大切です。
当サロンは、あなたの悩みや不安をお聞きし、気持ちの整理をお手伝いします。

裁判の具体的な法律相談や、裁判の代理人になることはできませんが、マラソンの伴走者のように、あなたの横で一緒に考え、寄り添っていきたいと考えています。

安心してご相談ください。

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【参考URL:裁判所ホームページ 離婚】

離婚 | 裁判所
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