日本では離婚の約90%が夫婦の話し合いによる「協議離婚」となっています。
離婚は、できれば2人の話し合いによる「協議離婚」で穏便に済ませたいものです。
しかし、どうしても2人では話し合いがまとまらない場合もあります。
そんな時、次のステップとして出てくるのが「調停離婚」です。
日本の離婚の約8~9%は「調停離婚」となっています。
では、「調停離婚」とはどのようなことを行うのか?
手続きの流れ、かかる費用、おおよその期間について解説していきます。
調停離婚とは?
- 片方が離婚に応じない
- 2人とも離婚には同意しているが、条件面で折り合いがつかない
2人では離婚の話し合いがまとまらないときは、「離婚調停」を家庭裁判所に申し立てて、家庭裁判所で話し合いを持つことになります。
協議離婚
↓ ↘
「調停離婚」 ← ADR
↓ ↙(※)法務大臣認定機関のみ
裁判離婚
調停離婚の流れは?
まずは調停を家庭裁判所に申し立てます。
申し立ては夫、妻、どちらからも可能です。
お互いの離婚の意思が固まっていない状態でも申し立てることができます。
調停は、基本的に1ヶ月に1回のペースで実施されます。
調停は平日に行われ、1回の時間はだいたい2時間程です。
何度か調停を繰り返したあと、合意ができれば調停離婚が成立します。
調停離婚の特徴として以下のものがあげられます。
「調停員」が話し合いをサポートする
調停では、裁判官の他、離婚の専門家の「調停員」が間に入って、夫婦の話し合いをサポートしてくれます。
調停員の役割は、あくまで「話し合い、協議をまとめる手助けをする」ことです。
「離婚すべきか否か」、「親権者はどちらか」などを強制することはありません。
(もっとも、説得された側は「強制された」と捉えることもありますが)
調停離婚は2人が直接話し合わない
調停では夫婦が直接話し合うことはありません。
夫婦は待合室も別々になっていて、調停室にも交代で入ります。
なので、調停中に顔を合わせることもありません。
相手に伝えたいことがある場合にも、調停委員を通じて伝えてもらうことができますから、冷静に話し合いを進めることができます。
「調停調書」の作成
調停が成立したら「調停調書」という文書が作成されます。
調停調書には法的な強制力があるので、もし慰謝料や養育費を支払わない場合は、調書をもとに給与や預金を差し押さえることができます。
離婚しない方向に調整することもある
話合いを進めた結果、もう一度にやり直したいという気持ちになれば、円満調整の方向で調停を進めることができます。その結果、調停を続ける必要がなくなったときは、申立てを取り下げることもできます。
調停離婚にかかる費用と必要書類は?
調停の申し立てにかかる費用と必要書類は以下の通りです。
【費用】
- 申立費用…収入印紙 1,200円分
- 戸籍謄本の交付手数料…1通450円
- 切手代…約1,000円(裁判所による)
【必要書類】
- 夫婦関係調停申立書
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 年金分割のための情報通知書(年金分割割合についての申立てが含まれている場合)
弁護士に依頼する場合
調停を弁護士に依頼する場合は、別途報酬がかかります。
報酬は弁護士にもよりますが、一般的には着手金として20~30万円、調停成立時に20~30万円と言われています。
調停離婚にかかる期間は?
案件によって期間は異なりますが、3ヵ月~半年程度がもっとも多く、1年以内で約90%が終了しています。
ただし、残りの10%では2年以上かかるケースが多いです。1年以内に終了しないと長期化してしまう傾向にあります。
ちなみに、片方が調停に出て来なくても、罰則などのペナルティはありませんが、調停を2、3回欠席した場合は、調停が打ち切られることもあります。
民間ADRについて
裁判所で話し合う調停をするのはちょっと抵抗があるし、時間がかかりそうだし、。。。
という方が多いのも事実。
そこで、最近は民間団体による「ADR(裁判外紛争解決手続き)」を利用する方も増えています。
ADRについては以下の記事を参照ください。
https://sorale-divorce-counseling.com/adr/
協議離婚の再検討をしたい方へ
ここまで「調停離婚」について解説してきましたが、いかがでしょうか?
やっぱり調停は大変そうだと思ったら、じっくり2人で話し合う、協議離婚を再検討するのも良いでしょう。
協議離婚のポイントは以下の記事でまとめていますので、参照ください。
まとめ
「調停離婚」は、まず「協議離婚」の話し合いがまとまらなかったところからスタートします。
建設的に話し合うことができないところからのスタートとなりますので、合意までには相応の長い期間がかかってしまう覚悟が必要です。
ただ、ここで合意ができない場合は「裁判」せざるを得なくなってしまいます。
裁判を避けるためには、あなたの要求が過度になっているものは現実路線に修正するなど、妥協点を考えておくことも大切です。
長い調停離婚の間、あなたの心にはいろいろな感情が湧き出てくることでしょう。
- これまでの結婚生活で不満だったことや、後悔していること
- 協議をしている中で、相手に憤りを感じること、逆に感謝すること
- 離婚後の生活に不安を感じること、逆に楽しみに感じること
- やり直した方がいいのでは?と感じること
長い調停を乗り切るには、あなたの心のケアも大切です。
当サロンは、あなたの悩みや不安をお聞きし、気持ちの整理をお手伝いします。
調停の具体的な法律相談や、調停の代行をすることはできませんが、マラソンの伴走者のように、あなたの横で一緒に考え、寄り添っていきたいと考えています。
安心してご相談ください。
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【参考URL:裁判所ホームページ 夫婦関係調整調停(離婚)】
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